インスタグラムを活用した飲食店の集客戦略は、コンテンツの“質”と“コミュニケーション”が鍵です。フォロワー数を増やすだけではなく、それ以上に重要なのがフォロワーからの反応・エンゲージメントです。
この記事では、なぜ単純なフォロワー数増殖よりもエンゲージメントの向上に重点を置くべきか、その理由を詳しく解説し、さらにエンゲージメントを上げるための投稿方法や戦略について具体的な実例とともに説明します。
また、フォロワー数が少ないにもかかわらず、インスタグラムを利用した集客に成功した飲食店の事例を紹介し、失敗から学ぶべきポイントと今後の展望についても触れます。これからインスタグラムを使った集客に取り組む飲食店舗や、より効果的な戦略を求めている店舗の参考になれば幸いです。
飲食店のインスタ集客のコツ｜フォロワー数を増やさない効果的な戦略
今日の飲食店経営者は顧客への認知度向上と新規客の獲得のために、インスタグラムを活用することがますます重要となってきています。
しかし、フォロワー数を増やすことが集客に繋がるという誤解が広く流布しております。本特集ではフォロワー数を追求することではなく、「エンゲージメント」に焦点を当てた新たなインスタ集客の戦略を提案し、その実践方法と成功例を紹介していきます。
一般的なSNS集客戦略の現状と課題
SNSを活用した集客は、インターネットを利用する全年齢層へのアプローチが可能であるため、幅広い層の顧客をターゲットに絞り込むことができるという点で有効とされています。また、既存のお客様に対しても新メニューやサービス、キャンペーン情報を一気に配信することができます。
しかし、近年はフォロワー数の追求に注力するあまり、抽象的な「いいね」や「フォロー」の数を重視する風潮が見受けられます。それが結果的に、「集客」ではなく「見かけ上の認知度」へとシフトしてしまっているのです。
これは、インスタグラム上での全体的なブランドイメージ作りに一定の寄与はするものの、実店舗への足の運びとは必ずしも直結しないという課題に直面しています。
飲食店のインスタ集客で重要視するべきポイント
一方で、成功した飲食店のインスタグラム活用例を見てみると、彼らは一貫して「エンゲージメント」を重視していました。エンゲージメントとは、投稿に対するコメントやシェア、保存といったユーザーの反応を指し、実際に見込み客が投稿を見てなにかアクションを起こしているかを示す指標です。
これほどまでにエンゲージメントが重要視される理由は、それがリアルな顧客の動向を反映する唯一の指標であり、実際の集客に直結する可能性が高いからです。したがって、飲食店のインスタグラム集客では「いいね」や「フォロワー」数ではなく、「エンゲージメント」を重視するべきです。
フォロワー数が多くても集客効果が出ない理由
ではなぜ、フォロワー数が多くても実店舗への集客に繋がらないのでしょうか。それは、多くのフォロワーが飲食店の地元や範囲外から来る「遠方のフォロワー」や、業者による不自然な「偽アカウント」で占められていることが多いためです。
これらのフォロワーは「いいね」をしてくれるかもしれませんが、実際に店舗まで足を運ぶことはほとんどありません。つまり、フォロワー数を増やすこと自体が目的化し、本来の目的である「実際に店舗を訪れる顧客」の獲得から遠ざかってしまっているのです。
フォロワー数より重要な「エンゲージメント」とは
エンゲージメントとは、顧客があなたのブランドや商品に対してどれだけ興味を持ち、関わりを感じているかを表すマーケティングの尺度です。具体的には、投稿へのいいね数やコメント数、シェア数、保存数などが含まれます。
多くの人々がInstagramの投稿を見るだけでなく、それに反応（エンゲージ）することで、その投稿やアカウントへの認知度が上がり、結果的に実店舗への集客につながるとされています。Instagramにおけるエンゲージメント率は、ブランドと顧客との信頼関係のバロメーターとも言えます。
インスタのエンゲージメントを上げる効果的な投稿方法
Instagramの投稿は、多くのフォロワー数を持つことではなく、エンゲージメントを高めることが成功のカギとなります。比較的短い時間で多くの情報を伝えられる写真や動画を用いて、具体的な商品やサービス、ブランドを伝えることが重要です。
そして、それに加えて質の高いキャプションやハッシュタグ、ストーリーズ機能を用いて、視覚的な情報以外の情報も伝えることで、投稿の魅力は一層増すことでしょう。
投稿の質と実例
有効なインスタグラム投稿とは、一見するだけでそのお店の雰囲気や提供される料理、サービスの魅力を伝え、視聴者に訪れたいと思わせるものです。
例えば、可愛らしくデコレートされたモーニングプレートの写真を投稿することで、「こんな素敵な朝食を楽しみたい！」と思わせる。あるいは、店内の様子やスタッフの写真を交え、アットホームな雰囲気を示すことで、「行ってみたいお店」としての印象を持たせることが効果的です。
また、季節のイベントに合わせたデコレーションやメニューの写真を投稿することで、訪れるきっかけを見つけやすくなります。
投稿の頻度と時間
投稿の頻度や投稿するタイミングもまた、エンゲージメントを高める大切な要素です。一般的には1日1投稿が適当とされていますが、これはあくまで目安であり、投稿の質を保てる範囲内で調整することが大切です。
また、投稿のタイミングについては、ターゲットとしている顧客がInstagramをチェックするであろう時間帯に合わせるべきです。朝の通勤時間帯や昼休み、夜のリラックスタイムなど、人々がスマホをチェックしやすい時間帯を狙うと良い結果が得られることでしょう。
写真の撮り方と編集方法
Instagramに投稿する写真は、できれば自然光の下、食事が美しく見えるように工夫して撮影しましょう。具体的なテクニックとしては、主食を手前に配置し、サイドメニューや飲み物を背景にする構図が基本です。
また、照明を利用して影を作ることで深みを持たせる、アングルを変えてみるといった工夫も効果的です。撮影した写真は、Instagramの編集機能を用いて明るさやコントラストを調整し、写真全体が見やすいように仕上げます。
キャプションの書き方
投稿のための写真だけでなく、それに付随するキャプションの書き方もまた、エンゲージメントを高めるためには重要な要素です。キャプションには、写真だけでは伝えきれないそのお店の特徴や料理の説明、こだわりなどを具体的に記載します。
そして、関心を持ってもらうための質問を投げかけたり、コメントやいいねを促す呼びかけを入れることで、視聴者の反応を引き出す工夫をします。
ハッシュタグの活用方法
また、キャプションの最後にはハッシュタグを付けることを忘れないようにしましょう。具体的な料理名や地元の名称、季節やイベント名など、その投稿が検索されやすいようなキーワードをいくつかピックアップします。
これにより、投稿が検索結果に引っ掛かりやすくなり、新たなフォロワーやいいねを獲得する確率が上がります。
ストーリーズ機能の効果的な使い方
さらに、インスタグラムのストーリーズ機能も有効に活用しましょう。ストーリーズは24時間で消える投稿形式で、ここではその日のランチメニューや裏側の料理風景、スタップの一日など、リアルタイムでアップデートするコンテンツが適しています。
また、ストーリーズには投票機能や質問機能など、ユーザーとのコミュニケーションを取るための機能も盛り沢山で、これらを用いてエンゲージメントを高める工夫をすることも可能です。
エンゲージメントベースのフォロワー数アップ戦略
これまでの説明で挙げてきたように、エンゲージメントを高めるためには良質な投稿をコツコツと続けることが大切です。
それにより、ユーザーの反応が得られ、その反応が更なるエンゲージメントを誘導し、良いスパイラルを生み出します。
このスパイラルを維持し、さらに加速させるための戦略として、相互フォローやいいね交換、ユーザーとのコミュニケーション、イベントやキャンペーンの活用、および、データ分析と改善が挙げられます。
相互フォローやいいね周りの限界
相互フォローやいいね周りは短期間でフォロワー数を増やす手法でありますが、この方法だけに頼ると長期的なエンゲージメント向上や意義あるフォロワー獲得には繋がりにくいのが現状です。なぜなら、無差別にフォローやいいねを行っても、実際にお店に訪れる可能性のある顧客とは限らないからです。
逆に、自然なエンゲージメントやフォロワー獲得のためには、自店の投稿への反応や、自店と近いコンセプトや立地の店舗、業界関係者など、ターゲットとなりうるユーザーやアカウントへの具体的なアプローチが求められます。
ユーザーとのコミュニケーションの重要性
また、一方的な投稿だけでなく、ユーザーとの対話を大切にしましょう。投稿に対するコメントや質問には必ず返信をし、そのユーザーが関心を持っている事柄に対して、情報提供や労いの言葉、感謝の言葉を伝えることで、信頼関係を構築する努力を怠らないようにしましょう。
それによって初めて、真の意味でエンゲージメントが生まれ、フォロワーが自然と増加し、実際の店舗を訪れる機会も増えるでしょう。
イベントやキャンペーンの活用
また、定期的にイベントやキャンペーンを行うことも、エンゲージメントを高め、新規フォロワー獲得に効果的です。限定メニューや特別なディナーイベント、季節のお祝いや記念日など、特別感や独自性を打ち出すことで、ユーザーの興味を引きつけ、参加を促すことができます。
キャンペーンならば、投稿のシェアやコメントを条件にした特典を設けるなどして、多くのユーザーに自店の投稿を広めてもらう工夫が有効です。
インフルエンサーや地域とのコラボレーション
さらに、インフルエンサーや他の地域の店舗、イベントなどとのコラボレーションもまた、エンゲージメント向上の一助となるでしょう。
例えば、インフルエンサーが自店の投稿をシェアしたり、店舗を訪れてその様子を投稿すれば、そのフォロワーから自店に対する注目度が上がります。
また、地域の他の店舗やイベントと協力し、お互いの投稿をシェアしたり、共同でイベントを開催したりすることで、地域全体での交流や連携を深め、新たな顧客獲得に繋がるでしょう。
定期的なデータ分析と改善
インスタグラムの投稿やアクティビティを続ける上で、定期的なデータ分析と改善も忘れてはなりません。Instagramではアカウントの分析ツールを提供しており、投稿のエンゲージメント数、フォロワーの増減、アクティブユーザーや視聴時間など、様々なデータを確認することができます。
これらのデータを基に、投稿の内容やタイミング、ハッシュタグの選択など、より効果的な戦略を考え、それを実行し、再度分析を行う。このサイクルを繰り返すことが、長期的なエンゲージメント向上と成功したInstagram集客に繋がります。
飲食店のインスタ集客の成功事例
エンゲージメントを高め、Instagramを成功裏に活用した飲食店の事例についてご紹介いたします。これらの事例から、エンゲージメントを重視したアプローチの重要さや、フォロワー数が少なくても実際の集客に成功できる可能性があることを理解することができます。
フォロワー数が少なくても集客に成功した事例
東京都内の小規模なカフェでは、オープン時にはフォロワー数が非常に少なかったものの、平日のランチタイムや週末限定の特別メニューなど、自店ならではのサービスや特長を紹介し続けた結果、口コミやリピーターを増やし、常に満席の状態が続いています。
フォロワー数が少ないながらも、毎日のようにお客さんからの「美味しかった」「また来ます」というコメントが寄せられ、実際に店を訪れるお客さんも多く、エンゲージメントが高い投稿が成功した事例と言えます。
エンゲージメントを重視した集客戦略の事例
また、大阪の焼肉店では、焼肉を食べている動画を定期的にアップするとともに、顧客からの「美味しそう！」「行きたい！」というコメントには必ず返信し、また、他の焼肉店や飲食店との競争ではなく、協力関係を築くことにより、共通したフォロワーを増やす戦略をとっています。
さらに、定期的に新メニューの実食会を開催し、その様子を投稿することで、視覚から舌へと想像を膨らませることに成功。これにより、店舗への交通量が増加し、期待を超える売上げを達成しました。
インスタ集客と店舗運営の相乗効果の事例
福岡のパン屋では、毎朝パン作りの様子をリアルタイムでストーリーズに投稿することで、フォロワーに対して当日提供するパンの鮮度や手作り感を伝えています。
また、「こんなパンが食べたい！」「このパンをまた作って！」というフォロワーからのリクエストにも積極的に応じ、その結果を投稿することで、顧客とのコミュニケーションを図りつつ、新メニュー開発の参考にもしています。
失敗から学んだ事例
一方で、フォロワー数の増加に一喜一憂していたあるラーメン店では、優れた内容の投稿よりも多く投稿することに重きを置く結果、内容が疎かになり、エンゲージメント率が大幅に下がってしまいました。
しかし、この失敗を機に投稿内容の見直しを行い、投稿の頻度を減らしたものの質を高め、またユーザーとのコミュニケーションを意識することでエンゲージメント率を回復し、結果的には売上げにも寄与することができました。
これからの飲食店のインスタ集客の展望
これらの事例から明らかなように、エンゲージメントを重視した投稿とコミュニケーションの取り組みが、飲食店のインスタ集客成功に直結すると言えます。
また、SNSの普及により、個々の飲食店がそれぞれの個性や特色を発信し、それによってお店を訪れる動機を提供することが可能になってきました。
その意味では、SNSの活用は飲食店にとって、集客手段だけでなく、ブランド作りや顧客とのつながりを深める有効なツールとなり得ると考えられます。